サロンの人間関係ってどうなの?エステ社員のホンネ座談会

「サロンって、人間関係難しそう……」。

エステ業界への就職・転職を考える女性たちから、よく聞かれる本音の声です。

私自身、25年以上この業界で働いてきた経験から言えることは、確かにエステサロンの人間関係には独特の難しさがあるということ。

でも同時に、そこには深い絆や成長の機会も眠っているのです。

今回は元サロン店長として、現場の生の声をお届けする「ホンネ座談会」。

美しさを追求するプロフェッショナルたちの舞台裏で、どんな人間模様が織りなされているのか。

エステ業界で働く方、これから働きたい方へ、リアルな現場の姿をお伝えします。

エステサロンの舞台裏:人間関係のリアル

「仲良し」とは限らない?女性同士の難しさ

エステサロンは、多くの場合女性スタッフが大半を占める職場です。

「女性ばかりの職場だから仲良しに違いない」というイメージを持つ方も多いでしょう。

しかし実際は、そう単純ではありません。

女性特有の繊細な感情や距離感が複雑に絡み合い、時に「女性ゆえの難しさ」も生まれるのが現実です。

「エステサロンは女性が多い職場であり、スタッフ全員が女性というところもあります。そのため、人間関係のトラブルが退職理由になることも珍しくありません」。

女性同士の人間関係は、表面上は穏やかに見えていても、実は感情の機微や非言語のサインに敏感です。

些細な言動、表情、態度の変化を見逃さない女性たちが集まる環境は、時に敏感すぎることがストレスの原因になることも。

「先輩の言葉のトーンが少し変わっただけで、自分が何か失敗したかと不安になりました」(入社3年目・Aさん)

「お互いに気を遣いすぎて、本音で話せない雰囲気になると息苦しいんです」(店長経験者・Bさん)

ただし、女性ならではの共感力や気遣いが、逆に職場を温かくする要素にもなります。

  • 女性同士の人間関係の特徴
  • 1. 感情の機微に敏感
  • 2. 言葉以外のコミュニケーションで多くを読み取る
  • 3. 共感力と思いやりが強い
  • 4. 一度溝ができると修復に時間がかかることがある

仕事と感情のバランス:プロとしての距離感

エステティシャンの仕事は、単なるテクニカルスキルだけでは成立しません。

お客様の肌や体に直に触れ、時に悩みや不安を聞き、心とカラダの両方に向き合う仕事です。

そんな感情労働の現場では、スタッフ同士も「仕事上の関係性」と「感情的な関係性」の境界線が曖昧になりがちです。

「技術的なアドバイスのつもりが、相手には人格否定のように聞こえてしまったことがありました」(エステ歴15年・Cさん)

「仕事のミスを指摘した翌日から、その子が挨拶してくれなくなったんです。でも、指導は仕事として必要だったんですよ」(店長・Dさん)

プロとしての適切な距離感を保ちながら、どこまで感情を共有するか。

この微妙なバランスが、サロン内の人間関係の質を大きく左右します。

「サロンの風土やスタッフの個性によっても、人間関係を良好にする方法は、それぞれ異なります。スタッフ一人ひとりの話を聞き、サロン内でのコミュニケーションを良くしておくことが大切です」

仕事と感情のバランスをうまく取るコツは、以下のようなものがあります。

  1. 仕事上の指摘と人格評価を明確に分ける
  2. 感情的になる前に一呼吸置く習慣をつける
  3. プライベートな話題と業務の話を意識的に切り替える
  4. 自分の感情のコントロール方法を知っておく

役職や経験年数がもたらす上下関係とその葛藤

サロン業界は、経験やスキルによる「縦」の関係性が色濃く残っている業界でもあります。

新人はベテランから学び、技術を継承していく徒弟制度的な側面もあるため、上下関係は避けられません。

「最初の2年間は、先輩の言うことは絶対でした。技術を教えてもらうためには、その関係性を受け入れるしかなかったんです」(エステ歴8年・Eさん)

「スタッフから店長になった時、昨日まで同僚だった子たちを指導する立場になって、本当に悩みました」(元店長・Fさん)

経験を積むほどに生まれる「技術の差」「役職の違い」は、時に双方に葛藤をもたらします。

特に、年齢が近いのに役職が上の場合や、年下の先輩から指導を受ける場合など、単純な年功序列では割り切れない関係性が生まれることも。

そんな上下関係の中でも、尊敬できる先輩との出会いは、エステティシャンとしてのキャリアを左右する大きな転機になります。

「心から尊敬できる先輩エステティシャンと出会い、この人に一生ついていきたい!!!と思うこともあります。人生が変わるような一生の師匠に出会えることもありますよ」

上下関係を健全に保つポイント

  • 経験は尊重しつつも、人間性は対等であることを忘れない
  • 技術指導と人格否定は明確に分ける
  • 教える側も学ぶ側も感謝の気持ちを言葉にする
  • 年齢や経験に関わらず、一人の専門家として敬意を払う

現場スタッフ座談会:エステ社員のホンネ

入社当初に驚いた”人間関係あるある”

新人エステティシャンが現場で直面する「あるある」エピソードを、現役スタッフに聞いてみました。

「想像以上に『察する力』が求められました。先輩たちは『あれ取って』と言うけど、『あれ』が何なのか全く分からなくて…」(入社2年目・Gさん)

「『教えてもらおう』と思っていたら、『見て盗め』文化で驚きました。質問すると『自分で考えなさい』と言われることも」(エステ歴3年・Hさん)

「プライベートの交流が業務の一部のような雰囲気があって戸惑いました。飲み会や食事会が頻繁にあって、参加しないと『協調性がない』と思われそうで…」(入社1年目・Iさん)

エステ業界の新人あるあるをリストアップしてみると:

  • 新人あるある
  • 1. 暗黙のルールが多く、最初は戸惑う
  • 2. 技術だけでなく言葉遣いや立ち振る舞いまで細かく指導される
  • 3. お客様の前では笑顔でも、裏では緊張感がある
  • 4. プライベートと仕事の境界線が曖昧になりがち
  • 5. 先輩の機嫌を伺う習慣が身についてしまう

こうした「あるある」体験は、多くのサロンに共通しています。

ただし最近では、「見て盗む」文化から「体系的に教える」文化へと徐々に変化しており、新人教育に力を入れるサロンも増えてきています。

「あのとき、本音でぶつかったから今がある」エピソード集

人間関係が深まるきっかけは、時に衝突や葛藤を乗り越えた先にあります。

「新人の頃、先輩から厳しく叱られて泣いてしまったんです。でも後日、『あなたに期待しているからこそ厳しく言った』と話してくれて。それからお互いに遠慮なく意見を言い合える関係になりました」(エステ歴7年・Jさん)

「店長と意見が合わず、毎日モヤモヤしていました。思い切って『こうしたい』と提案したら、意外にも『やってみよう』と言ってもらえて。自分の考えを伝えることの大切さを学びました」(エステ歴5年・Kさん)

本音でぶつかり合うことで関係性が変わった例として:

  1. 施術方法の違いで先輩と意見が対立→互いの良さを認め合うきっかけに
  2. 勤務シフトの不満から店長と話し合い→働き方の見直しにつながった
  3. お客様へのアプローチ方法で言い合いに→新しい接客スタイルを生み出した

「辞めていく人に共通するパターンとして、コミュニケーションの欠如があります。逆に言えば、適切なコミュニケーションができれば、多くの問題は解決できるのです」

本音をぶつけ合うには「伝え方」も重要です。

「相手が悪い」という批判ではなく、「こうしたらもっと良くなるのでは」という提案型の伝え方が効果的です。

ストレスとの向き合い方:辞めたい夜をどう乗り越えたか

エステティシャンとして働いていると、「もう辞めたい」と思う夜が訪れることもあります。

ベテランでも、そんな気持ちになることは珍しくありません。

「新人の頃は毎晩のように『向いてないのかも』と泣いていました。でも、先輩に相談したら『私も同じ経験をした』と励まされて。仲間がいると思えたことで踏みとどまれました」(エステ歴10年・Lさん)

「施術のミスで大切なお客様を怒らせてしまい、『もう続ける自信がない』と思ったことがあります。でも店長が『失敗を糧にすればいい』と背中を押してくれて。今ではその経験が私の強みになっています」(エステ歴12年・Mさん)

辞めたい気持ちと向き合う方法は人それぞれですが、多くのベテランエステティシャンが実践している方法があります。

「美と健康に対するモチベーションを持つことは、エステティシャンの仕事につく上で必須な適性です。その上で、人間関係を良好にしていくことは、仕事へと大きく影響します」

辞めたい気持ちを乗り越えるヒント

  1. 感情を一人で抱え込まず、信頼できる人に話す
  2. 「今日できたこと」に目を向け、小さな成功体験を大切にする
  3. 自分のストレス発散法を持つ(趣味、運動など)
  4. 「なぜエステティシャンになりたかったか」初心を思い出す
  5. 必要に応じて、転職という選択肢も視野に入れる

引用ブロック:

「エステティシャンを退職したり転職したりする理由で、人間関係を挙げる人が多いのは事実。しかし、それは逆に言えば、良好な人間関係があれば長く働き続けられる可能性も高いということです」

良好な関係性を築くために:現場の工夫とマインドセット

感謝と挨拶がすべての基本

良好な人間関係を築く最も基本的な行動は、「感謝」と「挨拶」です。

当たり前のことのようですが、忙しい現場では意外とおろそかになりがちなこの基本が、実はサロン内の雰囲気を大きく左右します。

「毎朝の『おはよう』と毎日の『ありがとう』を欠かさないようにしています。小さな積み重ねですが、チームの空気が変わってきました」(店長・Nさん)

「先輩に教えてもらったことは必ず『ありがとうございます』と伝える。これを徹底するだけで人間関係が円滑になりました」(エステ歴4年・Oさん)

感謝と挨拶の大切さについて、元トップエステティシャンでサロンオーナーのPさんはこう語ります。

「人は認められたいと思っています。特にエステの仕事は目に見えない努力の積み重ね。その努力を言葉にして伝え合うことで、チームの絆は強くなるんです」

感謝の表現方法

  • 具体的に感謝の内容を伝える
  • 「いつもありがとう」より「○○を教えてくれてありがとう」
  • 相手の目を見て伝える
  • その場で即時に伝える
  • 公の場での感謝も効果的

あえて”線を引く”勇気も必要

良好な関係性を築くためには、時に「線を引く」勇気も必要です。

プライベートと仕事を明確に区別したり、自分の限界を正直に伝えたりすることも、長く健全な関係を続けるコツです。

「最初は全部引き受けていましたが、無理が祟って体調を崩しました。今は『これは対応できません』と正直に伝えるようにしています」(エステ歴20年・Qさん)

「LINEでの仕事連絡は20時までと決めています。プライベートの時間を確保することで、翌日仕事に集中できるようになりました」(エステ歴8年・Rさん)

「女性ばかりの職場では、ついグループができがちです。でも私は意識的にどのグループにも深入りせず、公私の線引きを心がけています」(エステ歴15年・Sさん)

引用ブロック:

「また、『○○さんから聞いたんだけど……』と、たとえ悪口でなくても、ほかのスタッフの名前を挙げて、近況を探るようなことは避けなければいけません。ちょっとしたことであっても、告げ口をした、されたという意識があると、人間関係に溝ができる可能性があります」

健全な境界線を引くためのポイント:

  • 1. 自分のキャパシティを正直に伝える
  • 2. 仕事とプライベートの時間を明確に分ける
  • 3. 噂話や陰口には加わらない
  • 4. 自分の価値観を大切にする
  • 5. 必要に応じて「ノー」と言える関係性を築く

チームワークを育むイベントや制度の実際

サロン内の人間関係を良好に保つためには、日常業務以外の場での交流も重要な役割を果たします。

多くのサロンでは、チームワークを高めるためのさまざまな工夫が導入されています。

「月に一度の『技術研鑽会』では、お互いの得意技を教え合います。技術面だけでなく人間関係も深まる良い機会になっています」(店長・Tさん)

「誕生日会を大切にしています。その月の誕生日スタッフを全員でお祝いすることで、家族のような一体感が生まれます」(サロンオーナー・Uさん)

「年に2回の社員旅行は、普段見られない一面を知る機会になっています。旅行後はチームの雰囲気がぐっと良くなりますね」(エステ歴18年・Vさん)

チームワークを育む具体的な取り組み例:

  1. 定期的な勉強会・技術交換会
  2. 誕生日や記念日のお祝い
  3. 社員旅行やレクリエーション
  4. スタッフ同士のトリートメント交換
  5. 目標達成時の全員での食事会
  6. メンター制度(先輩が新人をサポート)

「職場環境が良好になれば、離職率の低下にもつなげることが可能です。退職をする社員のなかには、職場環境が原因で退職に至るケースも少なくありません」

こうした取り組みは、単なる楽しい催しではなく、サロンの一体感を高め、コミュニケーションの質を向上させる重要な施策です。

形式的に行うのではなく、スタッフの声を聞きながら、その時々に合った形で実施することが成功の鍵となります。

店長目線で見た「人が辞める理由」と「続けられる理由」

辞めていく人に共通するパターン

25年のエステ業界経験と10年以上の店長経験から見えてきた、「辞めていく人に共通するパターン」があります。

「自分の想いを表現できない人は続かない傾向にあります。不満をため込んでいるうちに、ある日突然『辞めます』と言い出すんです」(元店長・Wさん)

「成長を実感できないままでいると、モチベーションが下がっていきます。特に入社1〜3年目は技術的な壁にぶつかりやすい時期。そこでのフォローが不足すると離職につながります」(サロンオーナー・Xさん)

「『完璧主義』の人は燃え尽きやすいです。お客様にも同僚にも認められたいという気持ちが強すぎて、自分を追い込みがち」(人事担当・Yさん)

辞めていく人の傾向をまとめると、以下のようなパターンが見えてきます:

  • 辞めやすい人の特徴
  • 1. コミュニケーションが少なく、自分の気持ちを表現しない
  • 2. 成長を実感できず、将来像が描けない
  • 3. 過度な完璧主義で自分を追い込む
  • 4. 仕事とプライベートの境界線が曖昧
  • 5. 人間関係のトラブルを一人で抱え込む

「複数のスタッフが同時に辞めてしまう背景には、個人的な理由だけではなく、エステサロン全体の環境が大きく影響している可能性もあります」

長く働ける人に共通するメンタリティと習慣

反対に、長く働き続けるエステティシャンには共通するマインドセットや習慣があります。

「『お客様の喜びが自分の喜び』と本気で思える人は長く続きます。自分の技術でお客様が笑顔になる瞬間が、この仕事の最大の喜びだからです」(エステ歴30年・Zさん)

「困難を『学びの機会』と捉えられる人は強いです。クレームすら『次に活かせる経験』と前向きに考えられる」(サロンオーナー・AAさん)

「日々の小さな改善を積み重ねる習慣がある人は、長く続けられます。一気に変わろうとするより、1%ずつでも成長を実感できることが大切」(エステ歴25年・BBさん)

長く働き続けられる人の特徴:

  1. お客様の喜びを自分の喜びと感じられる
  2. 困難を成長の機会と捉える柔軟性
  3. 小さな改善を積み重ねる習慣がある
  4. 適切な距離感でコミュニケーションを取れる
  5. 自分なりのストレス解消法を持っている
  6. 技術以外の価値(人間力、接客力など)も大切にする

なお、業界の中でも特に安定した職場環境を提供している企業も存在します。

例えば、たかの友梨の社員は子供がいても安心して働ける環境が整備されており、産休・育休の取得率はほぼ100%、時短勤務制度も充実しているため、長期的なキャリア形成が可能になっています。

こうした充実した福利厚生は、エステ業界で長く働き続けるための重要な支えとなるでしょう。

「エステサロンのスタッフ一人ひとりが成長することが重要です。そのためにも正しい教育を施すことで、職場に愛着を持ってもらい、離職率の低下を図りましょう」

組織を育てる”見えないケア”とは何か

サロンという組織を健全に育てるためには、目に見える制度や仕組みだけでなく、「見えないケア」も重要です。

店長やマネージャーが意識的に行っている「見えないケア」とは何でしょうか。

「スタッフの表情や言動の変化に敏感でいることを心がけています。『いつもと違う』に気づき、声をかけるタイミングを逃さないこと」(店長・CCさん)

「『ありがとう』や『よくやったね』という承認の言葉を意識的に増やしています。特に頑張っているのに目立たない縁の下の力持ち的なスタッフには、意識的に声をかけるようにしています」(サロンオーナー・DDさん)

「スタッフが互いを認め合える『文化』をつくることが大切です。店長だけでなく、スタッフ全員が互いを尊重し合う環境づくりを心がけています」(エステ歴27年・EEさん)

組織を育てる「見えないケア」のポイント:

  • 1. 変化に気づく感度を高める
  • 2. 承認と感謝の言葉を意識的に増やす
  • 3. 全員参加型の文化づくりを促進する
  • 4. 個々の成長を継続的にサポートする
  • 5. 公平さと個別対応のバランスを取る

「サロンオーナーの役目はストレスの一般的なリスク要因を排除し、考えうる問題を予防することです」

見えないケアは、日々の小さな積み重ねが大切です。

一朝一夕に効果が出るものではありませんが、長期的にはサロンの雰囲気を大きく変える力を持っています。

まとめ

エステサロンの人間関係は、確かに他の職場とは異なる独特の難しさを持っています。

女性が多い環境、感情労働の要素、技術の継承と評価など、複合的な要素が絡み合う独特の世界です。

しかし同時に、そこには深い絆や成長の機会も眠っています。

エステ業界の人間関係で大切なのは、以下の点ではないでしょうか。

  1. 自分の気持ちや考えを適切に表現するコミュニケーション力
  2. 仕事とプライベートの適切な境界線
  3. 感謝と承認の気持ちを言葉にする習慣
  4. お互いを高め合い、認め合う文化づくり
  5. 困難を成長の機会と捉える柔軟なマインドセット

エステティシャンとして25年以上働いてきた私から言えることは、人間関係の難しさは確かにありますが、それを乗り越えた先にある「チームの絆」「お客様からの信頼」「自分自身の成長」は、何物にも代えがたい価値があるということ。

「エステ業界の人間関係は、繊細で複雑だからこそ学びがある」という言葉を、締めくくりのメッセージとしてお伝えしたいと思います。

そして何より、この業界で働く女性たちが、自分らしく輝ける職場環境が一つでも多く生まれることを、心から願っています。

最終更新日 2025年5月8日 by futsaa